| 2009年8月5日 | 病気(肝門部胆管がん)のこと-入院まで No Comment |

本番の時間が近づいてきた。着替えをしなくてはならない。

結局痛みはおさまらなかった。

靴下を脱ごうとかがんだが、おなかの中で何かがつっかえたようになって、体が曲がらない。おなかに大きな固まりがあるかのようだった。

本番です

いよいよ本番。

やっと歩いてるような感じだったが、部屋に入る扉の前で、笑顔をつくる。

お客さんには気付かれてはいけない。せっかくの時間、楽しんでもらわなくては。

自分でも不思議なくらい足取りがしっかりし、笑顔で部屋に入った。

笑顔、笑顔、笑顔

とにかく笑顔。

あんまりどうやって弾いたか、覚えてないんだけど
(後で聞いたら、たまに意識があやしかったらしい)
とにかく笑顔。

この状態なのに、クリスマスコンサートだからって、友達が持ってきていたトナカイの角のカチューシャをつけて弾こうとした私って...

ばかですね。

でも、いつでもお客さんには楽しんでもらいたいから。

おわった

本番が終わった。部屋を出る。

とたんに痛みがぶり返す。

なんとか控え室に戻った。

「ますます黄色いよ。ここ、病院なんだから見てもらった方がいいよ」

 ’’ただでさえ、こちらの方に心配をかけているのに、これ以上、迷惑をかけるなんて。”

とても申し訳なくて言えない、と思ったけど、友達が病院の方に聞いてくれた。

ひとりだったら、絶対我慢しちゃってた。このメンバーだったから甘えられた。このメンバーだったから、みんなで頼んでくれた。

そうじゃなかったら、私はどうなっていただろうか。

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